すい臓がんの知識「まとめ」
●すい臓がんのまとめ
すい臓がんは、全てのがんの中で生存率がもっとも低いがんのひとつであり、すい臓がんと診断された人のほとんどは、現在のところ、ごく短期間のうちに死に至ってしまうのが現状です。
すい臓がんの約90%は、すい管に生じます。したがって、一般にすい臓がん、すいがん、という時には、ほとんどがすい管がんのことだと考えても間違いではありません。また、すい臓がんがもっとも転移しやすい場所は肝臓、腹膜、肺です。このがんになった人のほとんどが短期間に死亡する理由はいくつかあります。
理由?
すい臓がんは容易には発見されず、発見された時にはかなり進行している。
理由?
すい臓がんを発症する原因や条件がよくわかっておらず、そのためふだんから予防的な生活を送ることができない。
理由?
もっとも深刻なことに、すい臓がんの有効な治療法がいまだにわかっていない、すなわち治療法がほとんどないに等しい。
すい臓の腫瘍には、すい管がん以外にも、消化酵素をつくる腺房細胞のがん、特殊な内分泌細胞のかたまりに生じる島細胞がんなどがあります。しかし、これらは発症率が低く、またすい管がんに比べて悪性度が低い(進行が遅い)、または良性(周囲に浸潤していない)場合が多いとされています。
●すい臓がんの見逃せない兆候
すい臓がんが早期に発見されにくい最大の理由は、自覚症状がなかなか現れないためです。がんが成長してくると、胃のあたりや背中が重苦しい(腹痛や腰背部痛)、腹の調子が良くない、食欲がないなどを自覚します。しかしどれも、必ずしもすい臓がんが原因かどうかがはっきりしない漠然とした不調です。他にも、以下のような症状が現れることがあります。
○体重が減少する
○全身の皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)
○尿の色が濃くなる
○黄疸のために体がかゆくなる
すい頭部、すなわちすい臓の十二指腸側にがんが生じた場合(全体の約80%)には、患者は閉塞性の黄疸を示すことが多くなります。黄疸が生じるのは、がんによって胆管がつまり(閉塞)、胆汁が十二指腸へ流れ出ることができなくなるためです。ただし、胆石や肝炎なども黄疸を引き起こすことがあるので、間違えないよう注意が必要です。一方、すい臓の十二指腸側とは反対側のすい尾部にがんが生じた場合には、黄疸は生じず、患者は痛みを訴えることが多いとされています。
その他にも、かなり初期の段階で下痢や便秘、倦怠感や抑うつ状態などの精神症状が現れることがあります。がんの進行によってすい臓の働きが低下すると、インスリンや消化液の分泌異常によって糖尿病や消化吸収障害を引き起こすようになります。さらに、すい臓がんの進行期には、腹水がたまったり、消化管からの出血を生じることもあります。慢性膵炎もすい臓がんとよく似た症状を示すので、混同されることがあります。